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事業報告

2025年度 事業報告書

一般財団法人意識研究財団|2025年4月1日〜2026年3月31日

 意識の究極問題を問う「意識研」(一般財団法人意識研究財団)は、今年度も「テクノロジー」「メディテーション」「ウェルビーイング」の三つのテーマのもと、それぞれのチームで活動を行った。また今年度より、これら三つの活動の恒常的な拠点となるリトリートセンターの建設計画も本格的に動き出した。以下、各プロジェクトについての報告。 【プロジェクト1:ハルシネーションマシン(テクノロジー)】  昨年度に引き続き、北海道大学の鈴木啓介氏が主導する「ハルシネーションマシン」プロジェクトを支援した。今年度はAMED「デジタル脳」プロジェクトとも連携しながら、オルタナティブ・マシン社へのシステム開発外注という形でリアルタイム幻覚機械の開発を継続。サセックス大学ではWumeng Wang氏(修士課程)による予備実験が実施され、過去にサイケデリック体験を有する参加者が幻覚機械のパラメータを自ら調整し体験を再現するという新手法が試みられ、その成果は修士論文としてまとめられた。  また、2025年10月に京都で開催された国際人工生命会議(ALIFE2025)では、開発アドバイザーの永井氏によるリアルタイム幻覚機械のデモが展示されたほか、共同研究者のMotyka氏(ポーランド科学アカデミー)による視線追跡・生理信号計測を組み合わせた立体視版幻覚機械も発表。これらの成果はASSC2025(2025年7月、ギリシャ・クレタ島)にても発表されている。  さらに鈴木氏がローカルオーガナイザーとして運営を担った国際学会「Models of Consciousness 6(MoC6)」(2025年10月、北海道大学)では、共同研究者のMotyka氏がハルシネーションマシンに関する研究を発表。MoC6は今回が初のアジア開催であり、約90名の研究者が集い、意識の哲学と数学化された現象学、量子論的アプローチ、人工意識研究といったテーマで議論が交わされた。また、意識研は2025年7月にギリシャ・クレタ島で開催された「QUALIUS Retreat on Non-Ordinary States of Consciousness」(QRI・ALIUS共催)のスポンサーを務めた。 【プロジェクト2:仏教と意識(メディテーション)】  今年度は、立命館大学の藤野正寛氏の主導のもと、研究者向けの瞑想リトリート開催を中心に活動を展開した。  2025年10月3日から6日にかけて、静岡県富士宮市の日月倶楽部にて3泊4日の「研究者のための瞑想リトリート2025年」を立命館大学との共催で開催。チベット仏教の永沢哲氏とチベット医学の中野真澄氏が指導にあたり、心理学・認知科学・神経科学・人類学・医学など多様な分野の研究者23名が参加した。このリトリートは具体的な成果につながり、参加した研究者6名が連名で人工知能学会(2026年6月)での企画セッション「瞑想とAI」を申請し、採択された。  また藤野氏はTEDx Kyoto University(2025年5月)で瞑想リトリートに関する講演を行い、YouTube公開後4ヶ月で再生回数が18万回を超えるなど、一般への普及においても大きな反響を呼んだ。2026年1月にはタイの国立マハーチュラロンコンラーチャウィタヤラヤ大学(MCU)でヴィパッサナー瞑想の実地調査と意見交換会を実施し、国際的な研究連携の拡充にも取り組んだ。 【プロジェクト3:意識と里山(ウェルビーイング)】  昨年度に開始した「意識と里山PJ」は今年度も信原幸弘を中心に継続し、宮沢賢治読書会とベルクソン読書会をそれぞれ毎月開催した。賢治読書会では『春と修羅』の第一集を読み終えて第二集へと進み、ベルクソン読書会では『時間と自由』を読了し、新たに『物質と記憶』へと移った。どちらの読書会も毎回2時間を超える濃密な議論が続いた。  合宿も複数回行われ、9月には山梨県北杜市(白州・尾白の森名水公園べるが)でベルクソン読書会の合宿を、10月には山形県高畠町「ゆうきの里さんさん」で賢治の「農民芸術概論」を読む合宿を実施した。フィールドワークとしては、5月に信原と染谷が茨城県桜川市の糞土庵を訪問し、糞と遺体を土に還す実践を続ける伊沢正名氏と万物循環の原理について議論を深めた。10月には信原・松村・米倉・七沢が福島県会津美里町の「無の会」を訪問し、自然農法に取り組む若い農業家たちとの交流を行い、プロジェクトの活動に向けた刺激を得た。 【リトリートセンター建設計画について】  三つのプロジェクト活動の恒常的な拠点として、意識研では今年度より山梨県北杜市に「瞑想ホール」「研究合宿棟」「森」を一体的に備えた研究所兼社会実験フォレストの建設計画を本格化させた。設計・建設についてはデジタルファブリケーションを用いた建築で知られるVUILD株式会社に依頼し、50坪規模の瞑想ホール(約100名収容)と40名以上が宿泊可能な宿泊棟を建設するプランを策定した。同センターは研究支援・シンポジウム開催の拠点機能と、里山再生やリジェネラティブな生の実践の場としての機能を兼ね備えることを構想している。現在、計画の詳細について役員会での審議・調整を継続中である。 以上

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